暴走機関車SP号

思いつくままにいろいろ書くよ!

【日記】語り継ぐという鎮魂

NHKさんの100分de名著をちまちま見てます。
今日みたのは『太平記』の第三回!
そこで、すごく心惹かれる話がありました。

時は乱世。武士による泰平へ世が移ろう中、公家の人々は嘆き足掻き、武士と争い合う。
そんな時代に死んでいった人たちが、悪霊になっていろいろ悪さするんですよ。
でもそれって、ある意味優しいことかも、と伊集院さん。
人間の中に悪が最初からあるんじゃなくて、ちょっと正気じゃなかったなーって時は悪霊のせいだったかもしれないし、と我々生者は考えることができる。
それに悪霊になった人たちも、次は誰に入り込んで悪さしてるんだろうと思うことで、その人の生の続きを考えることができる。
時々やってる昔の人のドキュメンタリー番組とか伝記とか、それに触れた我々の誰かの正義に触れて何か新しいことがおきて、その古い人は思い出されて、鎮魂になる。
(筆者うろ覚えにつきかなり意訳してます。気になる人は番組を見てください!)


私こういうの大好きなんですよね!
意思の連続とか、語ることによる鎮魂とかそういうの好きなんですよ。
この雰囲気を出すの得意な作家さんが上橋菜穂子なんですよねえ!
上橋さんの『守り人シリーズ』の外伝に、風と行く者ってのがあります。
これがまさに語り継ぐことによる死者への鎮魂なんですよ。
ある流浪の民がいて、彼らは普段旅芸人として食を繋いでいます。しかし彼らの本業は、各地に立つ慰霊碑の前で歌い踊ること。彼らは死者の名前を一人一人呼びながら舞うんですね。気怠い午後に、高原に行って吹き抜ける風を感じたい……という人におすすめの話! ほんと、言葉では言い尽くせない良さがあるよ〜。やはり、『理論化できないこちとは物語らなければならない!』ですな!

あと、私が好きな一首を引用しておく!
滝の音は 絶えて久しくなりぬれど
名こそ流れて なほ聞こえけれ
これも通ずるものがあると思う! 意思が脈々と受け継がれて行く。大きな河の流れのほんの一部に過ぎない我ら、されど河の行く末たる大海を夢想することができる。
目を閉じれば宇宙の広大さを感じることだってできちゃう。人間の良いとこだと思います。ああ!今日という日が歴史に残りませんように!